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薄い膜が境界となって内と外をつなぐ—その境界が揺れ、ふたりの気配が立ち上がる—
小説家・岡本かの子写真家・遠藤文香
小説が写真の説明にならず、写真が小説の挿絵にも資料にもならない。それでも、読むことと見ることを行き来するなかで、小説と写真が〈いま〉として立ち上がる。
本書は、日本の小説と写真を一冊の本の中で拮抗させてきたシリーズの第6作として、岡本かの子の小説『鮨』(1939年)に、遠藤文香の写真を加え、編集・造本した“書物”です。
小説『鮨』には、消えない気配があります。その気配は、岡本かの子の生へも通じているように感じられます。歌人として出発し、晩年に小説へと向かった岡本かの子の強度、そして家族や時代の圧を引き受けた一人の作家の輪郭が、この小説の背後で静かに息づいています。
その気配を想起させたのが、新進気鋭の写真家・遠藤文香の写真でした。遠藤文香の写真は、境界を固定しません。自然と人為、触れることと介入すること、その境界を揺らしながら、気配を残していきます。
岡本かの子の言葉が持つ消えない気配と、遠藤文香の写真が残す気配の余韻が、ただ並走しながら響き合い、ときには読んだはずの小説が違って見え、見たはずの写真の印象も変わっていきます。
ぜひ、このシリーズ最新作『Ayaka Endo: Kanoko』を手に取ってご覧ください。
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岡本かの子(おかもと・かのこ)1889年、東京生まれ。歌人として出発し、小説へと領域を拡げた。跡見女学校卒業後、与謝野晶子に師事して短歌を発表。1910年、岡本一平と結婚し、翌年岡本太郎をもうける。晩年は仏教研究にも深く関わり、独自の強度をもった文章で物語世界を立ち上げた。1939年没。『鮨』は没後に刊行された短篇集に収録。
遠藤文香 (えんどう・あやか)1994年生まれ。2018年、東京藝術大学美術学部デザイン科卒業、2021年に同大学院修了。修了後は東京を拠点に写真家として活動し、作品を発表する。現在はロンドン在住。主に動物や自然を対象とし、それらと人間とのあいだに古くから培われてきた感覚や秩序に関心を寄せながら制作を行っている。言葉:岡本かの子写真:遠藤文香出版:町口覚デザイン:清水紗良(MATCH and Company Co., Ltd.)-Pages: 240Size: 148 x 210 mmHardcover in a slipcaseColourSigned by Ayaka EndoPublished by bookshop M, 2026
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